ますますぽれぽれな日々

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職人という人種

kaepole2006-05-20

うちから一駅分ほどの距離のところに、「ル・シュクレ・クール」というパン屋さんがあります。
2年くらい前「cafe-sweets柴田書店)」に載っているのを見て、よさそうだったので買いに行き、以来ここのパンは、うちの週末のパスタ&ワインなメニューの日に欠かせなくなりました。
味も噛みごたえもしっかりしていて、ハード系の「ノワ・レザン」や、オリーブオイルを練り込んだ「シャバタ」、ドライトマトの入った「パン・オ・トマト」なんかが、特にお気に入りです。薄めにスライスして、ワインと交互に口に入れてると、エンドレス。
私はただの買い物客なので、お店の方と親しく話をしたりするわけではないのですが、ここの店主が書いてるプリント「シュクレ通信」を、パンを買いに行った時にもらってきて読んでると、なんだか身近な人のような気になってしまいます。きっとそこがこのお店のいいところなんだろうな、接客もいつも気持ちいいし、と思っていたら、やっぱりちゃんとそれが評価されて、「美食の王様」という本で、全国総合第3位になられたのだそうです。
その評価をとても謙虚に受けられている文面のシュクレ通信が最新で出ていて、その中に、「良い店は、よいスタッフとよいお客様によって育てられる」という言葉を思い出した、という話が書かれていました。
その文章の最後の方、普段お客様からかけていただく数々の言葉に対して
「そんな何げない一言で頑張れてしまうのが、職人という人種なのです」
とあり、私はこの言葉に、びーんときちゃいました。
少し前に、シュクレさんはテレビ(ちちんぷいぷい)に出られて、そのあとやはりテレビ効果で大変なことになって、店主は寝る時間がとれなくなりちょっと倒れちゃったりなんかもされてたようです。その時にも、「あぁ 求められる時にどこまでも頑張りたくなるのは 職人みんな一緒やなぁ」なんて思ったりしてました。
シュクレの店主も、相当な苦労人のようです。修業時代があり、資金づくりに奔走して、念願の開業。店を構えると日々に追われて家族を顧みれなくなる。だけど、少しづつよい方向に改善しようと内側から努力されてるのがとても伝わってくるので、すごいなぁと思います。シュクレさんのパンは、力強いパンだ!
がむしゃらに頑張らないといけない時期ってのはやっぱりあるものです。だけどいつまでもそれだけではいけないわけで、積み重ねた上にひらけていくものを掴んで、努力を足して、自分のものとしていければな、とか、考えますね。
職人は「つくること」そのものが好きでやっているけれど、必ず、それを受け取る対象のことをも、思いながらつくっています。
それが伝われば、うれしいな。