ますますぽれぽれな日々

Formerly known as 「ぽれぽれな日々」@はてなダイアリー

入院の話


今回お世話になった病院は、昨年7月に移転したばかりの新築。
なのですごくきれいです〜。
それに元々、産婦人科に定評のあるところだそうで、
実際、私の主治医も、「腕が良いのでは・・」と感じることが折々にありました。
でも、というか、だから、かな、かなりお忙しいようで、
入院中、手術翌日に一瞬だけ顔を見せたきり、一度も回診に来られなかった・・・。
あれは絶対私の退院日忘れてたんだよ。てな話含め、病室でのことを記録。


手術前日の午前中に入院。一人で行けるよと言っていたのだけれど、
それでもと送ってくれたダンナを、じゃあねありがとねって見送った直後、看護師さんが来られて、
「先生から手術の説明があります。あれ?付き添いの方は?」え、要るんですか?
あらら呼び戻して下さいと言われて、慌てて連絡して、仕事に行こうとしてたのをも一度寄ってもらって。すんません。看護師さんも「ごめんなさいね、早く言えばよかった、、」と。
レントゲン写真を見ながら手術内容の説明。なのですが・・、
話が「子宮筋腫核出術」になってる。ええと、子宮取らなくていいんですか?と尋ねると、そこで初めて、
「あれ?!子宮全摘と2本立てで話してたんだっけ?」・・ていうか、全摘で決めたじゃないですか。43歳(来月ね)、どのみち年齢的にももう出産は厳しいんだし、って。
ダンナが「リスクの少ない方で」と口添えしてくれまして、先生もそれなら断然、と、私としては予定通りの「単純子宮全摘術」に。(当日の手術室内では、この時点で手術内容が決定したような話になってたので、めんどくさいから「はい。」言うときました。)
先生の説明が終わったら、夜までしばらく暇なので、ラウンジで本を読んだりメールを打ったり。
そうこうするうち18時夕食。まだ元気なのにベッドに腰掛けて食事するって、変な気分ね。ここのおかず、けっこうおいしいのですよ。院内にレストランがあって去年通院中に一度入ってみたのだけど、病院なのに薄味じゃなかったのがちょっとびっくりでした。病室のもそれと同じような味付けで。
シャワー室を借り、21時前には手術の下準備。下剤・眠剤を飲んで、弾性ストッキングなるきつめのハイソックスを履いて、抗生剤の点滴がスタート。ここから絶飲食が始まります。そして早めに就寝。
なのですが、同室のばあちゃんたち(泌尿器科)が元気で、はっきり言って、うるさいぞ。


手術当日。朝、浣腸されて、手術着を渡され、でも12時からだからまだ着替えなくていいですよーと言われた矢先に、先生が飛び込んできて、
「あのね、9時からの手術が無しになったから、繰り上げて始めたいんだけど、ご主人にすぐ来てもらえる?てかボクが電話するわ、携帯番号教えて。」
およよ。看護師さんたち、あたふた。
結局ダンナの到着は待てずに、30分後の9時20分頃、手術室へ。
自分で台に上がり、記憶は、背中にすごく痛い麻酔針刺されて麻酔の管が通ったあたりまで。「今、麻酔液が入りましたよ」「はい」。コトン。
目が覚めて、病室に戻る途中でいつのまにか主治医は消えて(多分ダンナに説明に行ったんでしょね)、そのあとダンナから結果の話を聞き、以降、私のお世話は看護師さんが入れ替わり立ち替わりやってきてして下さいました。
腕の点滴に電解水が追加され、体温と血圧と血中酸素をこまめに計りに来られてて、しばらくは私も起きてたんだけど、そのうちうつらうつらしたり。
足の裏にはポンプがつけられました。左右交互にバフッと膨らんで、土踏まずを刺激します。弾性ストッキングとあわせて、血栓防止のためだそう。
電気毛布を入れてもらってるのに、最初しばらくは寒気がしました。
体には、尿の管と、背中に麻酔の管が通されていて、バスタオルが巻かれた上に手術着がかぶせられている状態。胸の辺と太腿の辺がかゆくなってきて、お尻の辺はまだしびれてる。お腹の辺は怖くて触れなかったー。徐々に麻酔が、局部を残して切れていってるんですね。
声がかすれて出にくい。麻酔のせいだろうとのこと。
その晩、お腹の痛みがきつくなってきました。
熱も8度6分を超え、解熱剤を使いたいけど主治医からは「まだ腸を動かしたくない」と通達があったようで、錠剤は飲めない。氷枕を入れてもらって。
事前に聞いた話では、なんともない人とすごく痛む人とがあるそう。
痛む人だったかーと思いつつ、看護師さんが来られた時に言うと、
背中からの麻酔液の、管の途中に、ピストンがついてて、これを押すと一時的に麻酔量が増やせるそうで。使い過ぎにならないよう一定時間はピストンが押し込まれたままになってるしくみなので、またどうしても痛くなってピストンが上がってたら押したらいい、とのこと。
これを時々使いつつ、この日はしのいで。


翌日。朝食はまだやめといてください、と指示があったそうで、出てたみたいなんだけど運ばれてきませんでした。
午前中に、一度歩いておきましょう、と。
これは「肺塞栓症」(いわゆるエコノミー症候群の類い)防止のため(ポンプ・弾スト同様)、痛くても少し歩いておいてくださいと、あらかじめ主治医からも言われておりました。
看護師さんに体を拭いてもらって着替えをし、背中の麻酔袋を持ってもらい、点滴のポールを支えにして、5歩ほど。
で吐き気がして、あかんやめとこ、と回れ右してベッドに戻ったところで、
唐突に主治医登場。「お、歩けたな!」。
「あとは日にち薬だから。じゃ!」
・・・あっという間に去っていかれました、お腹も診ず・・・。
看護師さんと私、顔を見合わせて、
「すごいタイミングでしたねぇ・・」「ほんで(日にち薬)それだけ、ですかぁ・・」
ちょっと呆れ笑い。
休憩してたら、昼食。
流動食から始めると言われてたのに、いきなりおかゆでした。多分、朝がお吸い物だったんでしょうね、とんだだけでずらしてはくれないあたり、給食室と治療経過とは連動してないようです。
しかも、普通食と同じおかずが、牛肉のしぐれ煮とか、どーんとついてます。つまり、白米がおかゆになっただけ。
絶対これ、いきなり食べたらヤバいと思う。
どっちみち、食べられませんでしたけどね。おかゆ3口でギブアップ。みかんの実だけジュース的になんとか摂りました。
それから午後、もう一度歩いとこうかと言っていたのですが、お昼頃から夕方までずっと、吐き気がひどくて。
胸の前に容器をかまえて、吐いたらナースコールしようとスタンバイしてたらちょうど検温に来られて「うわ」て顔されたのですが、
この吐き気はおそらく、手術の時の全身麻酔の影響だろうとのこと。だいたい一日経った頃に出るのだそうです。
吐かないままにおさまったのでよかったのですが、歩行練習は中止。
夕食も、おかゆと鶏肉のピカタとウニ豆腐とお野菜の、フルメニュー。おいしそうではあるけれどとても食べられる気分ではなく、付いてたお吸い物とゼリーだけで、あと総残し。
そして夜になるとまた、痛みがぶり返してきました。
背中の麻酔液も、そろそろなくなりかけてるようで、ピストンを押しても効かない。
この晩は、痛くて痛くて眠れませんでした。


8時の朝食はパン。ジャムを舐めた程度に、やっぱりほんの少ししか食べられませんでした。
背中の麻酔液がいよいよ無くなったのですが、これには麻薬的なものが含まれていてけっこうきついので、さらに追加して使うのはやめた方がいい、とのことで、痛み止めの錠剤が処方されて、背中の針は抜かれました(背骨のとこに入ってるから抜く時がまた痛かった!)。
でもこれで管が一本減って、ちょっと身軽に。
昼食からはもう、白米のすっかり普通食が配されてきました。まだほとんど手を付けられず。
食べるそばから、腸がぎゅうっと痛むのです。動いて。子宮を取ったあとの空洞には、小腸が埋るのだそうですが、ゆえに腸が、新しい場所で戸惑っているのを、ひしひしと体感。
錠剤の痛み止めでは半日しても効いて来なかったので、お昼過ぎ、筋肉注射での痛み止めを入れてみてもらいました。
麻酔がおわると同時に、声が出るようになってきたのですが、今度は痰がからんで咳がつき始めました。
気管支炎が戻ってきました。止まらない咳はあからさまにお腹に響きます。
ちぎれそうに痛いし、力が入らなくて痰がきれず、喉に詰まって息ができなくて苦しくてナースコールしたら、とんできた看護師さんが、覗いただけで走って帰っちゃった・・・
あー新人さんだったのね・・と思ってると、そのあと来た人も、これまた新人さんだったようで、、。
「ど、どうしましょう〜〜〜っ」
うーん。
「先生、帰っちゃったんですぅ」
ええとね、お昼にもらった咳止めの、錠剤が効かないようなので、シロップに替えてもらえませんか。
それを、息絶え絶えに、なんで私が指示せねばならんのだ。
「先生に、電話して聞いてみますっ!」
そうしてくれたまえ。今は即効性がないと意味がないのだよ。
勝手に涙がボロボロ落ちるし、脂汗じっとりなってくるし。ここまできついのは久々でしたわ。
夜になって、看護師さんが交替になって、ようやく咳止めシロップを出してもらえました。
痛み止めは、筋肉注射も効果が薄かったので、最終手段の座薬を入れてもらいました。これは少々きつい薬で、胃がかなり荒れるのであまり使えないのだけれど、と念押しされて。
そのかわりよく効いて、朝方やっと眠れました。


術後三日目。
峠は越えました。もう、トイレにも自力で行けるようになりましたので、朝、尿の管を抜いてもらいました。
点滴も、昨夜のうちに全部おわりました。針を刺してた周りがかなり痛くなってきてたので、終わり次第、夜中でしたが外してもらえました。
熱だけはあまり下がらず、退院当日までずっと7度5分前後あるままだったのだけど、これはそんなにしんどくはなく。きっと、体内大修繕を頑張っている発熱なのでしょうね。
お腹は、立ったり歩いたりすると痛むけど、じっと座ってる分には大丈夫。なるべく姿勢良く背筋をのばしてようと思うのだけど、どうしてもお腹をかばってしまうから、ダンナに「背ぇ縮んだな。小さいのがさらに小さなった」言われ。
なんの、日に日に伸びるわよ。ごはんだって、少しずつ食べられるようになってきたんだから。頭も、介護用洗面室借りて、洗うわよん。


それにしても、主治医はあれから全く姿を見せません。
入院期間は一週間程、水曜日入院の水曜日退院です、と言われていたから、そのつもりでいるのに、どうなっているのやら。
月曜日の配膳時に、次の水曜日の夕食はAとBどちらにしますかなんて紙が乗っかってて変だし、
お腹に聴診器当てに来られた看護師さんも、「あれ?まだガーゼ貼りっぱなし?」
だって先生ぜんぜん回診に来られないんだもん。
火曜日になっても現れないので、勝手に帰っちゃうよもう!と思いつつ、看護師さんに「明日退院の予定なんですけど、診察受けないと、いけないですよねぇ」
看護師さんも驚いて、「そうですよねぇ」と、先生に連絡して下さいました。
夕方、その看護師さんが交替前に、「センセ、なんか忙しいみたいで、だけどなんとかして今夜、遅くても日付が変わるまでには来るからとかふざけたこと言うてますけど、待っててもらえますか?」と、ごく真顔で伝えに(笑)。
結局先生は、消灯の22時ギリギリに駆け込んで来られまして、別室で診察してもらえ、なんとか翌日水曜、予定通り退院の運びとなりました。
諸々の手続きが遅れ、看護師さんや同室の方々からは「急ねぇ!」なんて言われましたが、私は全然、急じゃないのですよ。
やれやれ。


少し元気になると、カーテンに仕切られてベッドで一人食べるごはんって、もそもそあじけないなぁ、なんて思うようになってくるもので。
私が入ってた病室は建物の一番奥で、廊下の突き当たりの壁はガラス張りになってて外が見えます。
お天気がいい日にはそこにテーブルとイス持ってって食べたら、やっぱあかんかなぁ、などと考えつつ。
ここから見える夜景は、なかなかきれいでした。



総じて、看護師の皆さんには、本当に良くしていただきました。
横柄な人が見事に一人もいらっしゃらなくて、すごいなと思いました。
新人さんもベテランさんも、みなさん朗らかで、最初から最後まで、とても気持ちよく過ごさせていただきました。
感謝。